夏の蒸し暑いこの時期、外を歩くとあまりの暑さに汗が止まりません。しかし湿気は人だけではなく建物に影響を与えることがあります。この記事では、床下に湿気がこもる原因や湿気による建物への影響、また効果的な湿気対策とその実施方法をご紹介します。
床下湿気の基本
床下湿気の原因と影響
床下の湿気は主に、家の基礎や地面からの水分が蒸発して床下に溜まることで発生します。この水分は、雨水の浸透、基礎の防水不備、周囲の地形の問題、または室内からの湿気が床下に逃げることにより加速されます。床下の湿気は、家の木材部分にカビや腐朽を引き起こす可能性があり、これが健康へのリスクをもたらすだけでなく、家全体の構造的な強度を弱める原因となります。特に日本の梅雨時期から夏にかけて湿度が高くなりやすく、床下湿気の問題が顕著になる傾向があります。
床下湿気が家に与える損害
床下湿気が家に与える損害は多岐にわたります。まず、木材の腐朽やカビの発生は、床や壁の強度を低下させ、最悪の場合、家全体の耐久性に影響を及ぼすことがあります。また、カビはアレルギーや呼吸器系の健康問題を引き起こす原因ともなり得ます。さらに、湿気は家の断熱性を損なうことで冷暖房の効率を低下させ、エネルギーコストの増加を招くことがあります。長期にわたる湿気の問題は、住宅の寿命が縮まる原因にも繋がり、経済的な損失をもたらすことも少なくありません。
床下湿気対策の基本
床下湿気対策が不要な家
床下の湿気対策が不要な家は、特定の建築様式や地理的な特徴を持つ場合が多いです。たとえば、敷地が周辺より高く位置している住宅や「ベタ基礎」を採用した住宅は、厚みのあるコンクリートと防水シートが湿気の侵入を阻むため、床下に湿気が溜まりにくい構造です。この工法では、地面からの水蒸気が室内に伝わりにくく、通常の「布基礎」のように薄いコンクリートを使用している場合と比較して、積極的な湿気対策の必要性が低減されます。しかし、雨季や夏期には床下の湿度が上昇するため、コンクリートの厚みに関わらず一定の湿気対策が求められます。特にベタ基礎の家でも、建てられてから10年が経過すると、床上の木材部分にカビが生じることがあります。さらに、現代の住宅は気密性と断熱性が高まっているため、一年中快適ではあるものの、内部に湿気がこもりやすいというデメリットも抱えています。
床下湿気対策が必要な家
敷地が周辺より低く位置している住宅は、大雨や台風時に雨水が床下へ流れ込むリスクが高まります。特に山脈や丘陵地の下部に位置する住宅では、上方からの水の流れが床下で停滞し、湿気が蓄積しやすくなります。このような場合、雨水が滞留し蒸発しきれないと、室内の湿度が上昇し結露の原因にもなります。
また、元々水田や湿地だった土地に建てられた住宅は、土壌自体の保水性が高く湿度が高まりやすいです。地盤改良が適切に行われていない場合、特に注意が必要です。土壌中の水分が蒸発すると、家全体の湿度が上がり、木材の腐食やカビの発生のリスクが高まります。
床下の空間が狭い住宅では、換気が阻害され、湿度の上昇が見られることが多いです。現行の建築基準法では、木造住宅は地面から床までの最低高さを45センチメートル以上確保することが求められていますが、古い住宅ではこの基準に達していないこともあります。これらの住宅では、積極的な湿気対策が不可欠です。
また「布基礎」という建築方法は、建物の壁に沿ってコンクリートを深く打ち込む手法で、コンクリートが突出し、線状に住宅を支える構造です。この方法は、建築コストを低く抑えつつも必要な強度を保持できるという利点があります。ただし、布基礎のデメリットとして、地面からの湿気が建物内に容易に伝わり、湿気関連の問題に対して脆弱である点が挙げられます。このため、布基礎を使用する場合には特に湿気対策が求められます。
実践的湿気対策
自分でできる床下湿気対策
床下の湿気対策は、自分で行うことも可能です。最も基本的な方法は、床下の換気を改善することです。換気を改善するためには、床下の換気口の状態を常に良好に保つことが重要です。建築基準法によれば、壁の長さ5メートルごとに少なくとも300平方センチメートルの換気口を設けることが必須とされています。しかし、換気口が植木やエアコンの室外機、その他の障害物によって塞がれていると、床下の湿気がこもりやすくなります。そのため、換気口周辺に物を置かないよう心掛け、詰まったゴミは定期的に除去することが湿度管理には効果的です。また木炭を使用することは、床下の湿気を効果的に抑制する方法の一つです。木炭は多孔質であり吸着性が高いため、水分を効率的に吸収します。しかし、木炭の除湿効果を持続させるためには、定期的に乾燥させる必要があります。木炭は3ヶ月から半年ごとに天日干しをして、水分を十分に放出させることが推奨されます。
湿気対策を業者に依頼した場合
「自分では対策が難しい」または「根本的な解決を求めている」場合は、湿気対策に詳しい専門の業者に依頼することを推奨します。専門業者に依頼する際の費用は様々ですが、一般的な目安は以下の通りです。
床下の換気を改善する「床下換気扇」の設置は、30坪(約100平方メートル)の住宅で2台から4台が適切で、配線を含めた施工費用は10万円から25万円程度が見込まれます。運用に必要な電気代や定期メンテナンスのコストは比較的低めです。
地面からの湿気を防ぐ「床下防湿シート」の施工には、敷き込み費用として坪あたり約1万円がかかり、通常の戸建て住宅(30~40坪)であれば総額で10万円から20万円程度が相場です。
さらに、床下の湿度を調整する「床下調湿剤」や「調湿マット」の設置は、坪単価が約1万から3万円で、同じく30~40坪の戸建てでの総額は10万円から30万円程度になります。これらの調湿剤は半永久的な効果があり、調湿マットは防湿シートとしての役割も果たし、湿気の調整だけでなく封じ込め効果も期待できます。
まとめ
床下の湿気は見過ごされがちな問題ですが、適切な対策を講じることで重大なダメージを防ぐことが可能です。お住まいの住宅環境が周囲の土地より低い場所に位置し、自然と雨水が流れ込む地形環境かどうか一度ご自身で確認してみることをおすすめします。また風通しの悪さも湿気を引き起こす一因となります。適切な湿気対策を行わないと、木材の腐食やカビの問題だけでなく、シロアリの発生のリスクも高まります。床下の湿気対策は個人で行うことも可能ですが、複雑なケースや確実な解決を望む場合には、専門の業者に相談するのが良いでしょう。
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