家に帰ったときに感じる「なじみのあるにおい」は、壁や床にも染みついています。においは料理やペットだけでなく、ほこりや湿気を吸った“素材”そのものからも発生します。ここでは、においの主な原因と、壁と床がにおいをため込む仕組み、そして手軽にできる対策をわかりやすく解説します。
家のにおいをつくる4つの要素
1.料理のにおい
揚げ物や炒め物をすると、油に含まれる脂肪酸が高温で分解され、アルデヒド類やケトン類といった揮発性のにおい成分(油煙)が発生します。これらは煙とともにキッチンの天井や壁、家具の表面にも飛散しやすく、時間が経つほど酸化して粘着性が増すため、掃除を怠ると頑固な黄ばみやべたつきの原因となります。
2.水まわりのにおい
浴室やトイレなどの湿度が高い空間では、カビや雑菌が繁殖しやすくなります。これらの微生物が出す揮発性有機化合物(VOCs)は「生乾き臭」や「カビ臭」と呼ばれ、石けんカスや髪の毛、ほこりなどに栄養を得て増殖するため、換気不足や排水口のヌメリ放置がにおいの悪化を招きます。
3.ペット・たばこ
ペットの毛やフケ、皮脂由来のフェロモン成分は微細な粒子となって空気中を漂い、カーペットやソファ、壁紙の繊維にしみ込みます。またタバコのヤニにはニコチンやタールなどの化学物質が含まれ、空気中に放出されることで床や壁にべったりと付着し、長期間にわたって黄ばみや特有の苦味のあるスモーキーなにおいを残します。
4.生活臭全般
汗や皮脂、ほこりが混ざって空気中や素材に残る。
これらのにおい分子は、壁紙やフローリングなどの“多孔質(穴がたくさんある)”素材に吸着・蓄積します。

壁ににおいがしみ込む仕組み
1.多孔質素材としての壁紙
壁紙やビニールクロスには小さな凹凸があり、におい成分をキャッチしやすい。
油煙やヤニの化学物質が表面に定着し、染み込むと落ちにくくなる。
2.カビ・細菌の繁殖
湿気がこもると、壁の内部でカビや細菌が増える。
それらが出す揮発性有機化合物(VOCs)が「生乾き臭」や「カビ臭」を発生させる。

床材ごとのにおい特性と対策
床材タイプ | においの特徴 | 主な対策 |
カーペット | ほこりやダニの死骸が蓄積し湿気でカビが発生して独特の埃臭を放つ | 週1回以上の掃除機がけ、年1回のスチームクリーニング |
フローリング | 木材が酸化して獣臭や古木の香りを醸し傷やへこみに汚れが溜まる | 傷を補修するワックス塗布、半年に一度の全体メンテナンス |
クッションフロア | 塩ビ素材の可塑剤が揮発して化学的なにおいを生じる | 中性洗剤拭き後、乾燥を十分に行う |
床下の湿気管理
床下換気口は年に2回点検・清掃を行い、そのうえで調湿・防カビシートを敷設して湿度をコントロールしましょう。
季節別・環境別の具体的ケア
季節・状況 | 主なリスク | おすすめケア |
梅雨(6~7月) | 高湿度によるカビ繁殖 | 除湿機フル稼働、こまめな窓開け |
夏(8~9月) | エアコン臭、汗・体臭の増加 | エアコン内部清掃、消臭フィルター設置 |
冬(12~2月) | 結露→カビリスク | 洗面所ヒーター使用、窓際の布製品回避 |
新築特有のにおい
新築特有のにおいは、接着剤や合板から放出されるホルムアルデヒド、壁紙糊や塗料のトルエン・キシレンなどの溶剤成分、フローリング・建具の合成樹脂コーティング、ビニールクロスの可塑剤といったVOCsが施工後に長時間揮発し続けるため強く感じられますが、こまめな換気や空気清浄で濃度を下げながら自然減衰し、約1年ほどでほとんど気にならなくなります。
自分でできる壁・床のにおい対策
1.窓やドアを開けて風を通し、除湿機やエアコンの除湿機能で湿度を50%前後に保ちます。
2.壁はビニールクロスの場合、中性洗剤(0.1~0.5%希釈)を固く絞った布で優しく拭き、水拭きは避けてください。
床はフローリングを水拭きモップで拭き、カーペットはブラシノズルでしっかり掃除機がけを行います。
3.活性炭や珪藻土、重曹、置き型消臭剤などの消臭グッズを、壁や床の近くに配置します。
4.市販の抗カビ・防汚コーティング剤を塗布することで、汚れやカビの再発を抑制します。

プロに任せるとこんな方法も
プロに依頼すると、抗カビ・防汚機能付きの素材を用いた壁紙張替えや再塗装で汚れの再付着を防ぎつつ、フローリングは研磨とワックス塗布によって表面の古いワックスや汚れをリセットして香りを一新し、さらに光触媒コーティングで室内照明や太陽光に反応して揮発性有機化合物を分解・無害化しつつ持続的に消臭効果を発揮させ、必要に応じて高圧洗浄や専用薬剤を使った専門清掃でカビの根やダニを徹底除去する、といったトータルな施工プランを一括して任せられます。
Q&A:よくある質問
Q1. 定期的な壁・床メンテナンスの目安は?
A. 壁の軽い拭き掃除は季節ごと(3~4ヶ月に1回)、床の掃除機がけは週1回以上を目標にすると効果的です。
半年に一度、床材や壁紙の状態をチェックし、補修やプロクリーニングを検討すると長持ちします。
Q2. 光触媒コーティングは本当ににおいを分解してくれる?
A. 光触媒(酸化チタン)は、室内の蛍光灯やLED光にも反応してVOCや雑菌を分解します。コーティング直後から徐々に効果が出始め、メンテナンス不要で1年~数年持続するものが多いのが特徴です。
まとめ
壁と床は、部屋全体のにおいを左右する“大きな面積”であり、ホコリ・湿気・汚れをため込みやすい場所です。日常的な換気や除湿、軽い拭き掃除・掃除機がけを習慣化することで、カビやダニ、タバコのヤニといった原因物質の発生を抑えられます。また、活性炭や重曹、珪藻土といった吸着アイテムや抗カビ・防汚コーティング剤の活用も効果的です。頑固な黒ずみや古い油煙汚れ、VOCsによる新築特有のにおいには、プロの壁紙張替え・再塗装やフローリング再生、光触媒コーティングなど専門的な施工を検討すると安心です。まずは自宅の壁と床をしっかり観察し、適切な対策を組み合わせて快適な空間を長く保ちましょう。
すまサポでは、お家の悩みに合わせた様々なメンテナンスサービスを行っております。気になることがございましたら、お気軽にご相談ください!
