朽ちた木

木材腐朽菌による耐震性への影響と対策

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木材腐朽菌とは?

朽ちた木

木材腐朽菌は木材を分解し栄養源として生活する菌で、自然界においては寿命が来てしまった木々を分解し、土に帰すという自然の循環に貢献しています。

しかし私たち人間が住む木造建築にとっては害のある存在で、家に使われる木材を腐らせて耐久性の低下を招きます。

白色腐朽菌

木材の主成分であるセルロース、リグニンを全て分解し腐った木材は白色に変化します。

よく食材として使用するシイタケやシメジもこの白色腐朽菌に分類されます。

褐色腐朽菌

木材の成分の内、セルロースを分解します。

腐った木材は褐色に変化し、木材の表面をつまむとポロポロと粉状になるのが特徴です。

木材腐朽菌が発生しやすい場所と条件

木材腐朽菌の胞子は空気中のいたるところに浮遊しています。

そのため生育条件が揃いさえすれば、一気に増殖し木材の腐りが進行します。

その条件とは

  1. 木材(木材腐朽菌の生育に必要な栄養源)
  2. 酸素(生きていくためには必要)
  3. 水分(木材の含水率が35%~150%)
  4. 温度(3~45℃で発育するが、30℃前後が最も発育が良い)

の4つです。

腐朽菌とカビの違い

今までの腐朽菌の話を聞いてみるとカビとよく似ていると勘違いをしそうですが、実は全く違います。

腐朽菌は木材を分解する酵素を分泌し、木材の組織を分解します。

対してカビは表面汚染菌とも呼ばれ、木材の表面で繁殖します。

木材に含まれるアミノ酸や付着した汚れを栄養源とし、木材の強度自体を低下させることはありませんが、匂いやカビの胞子を吸い込むことによるシックハウス症候群やアレルギーなどの弊害はあります。

シロアリと木材腐朽菌の関係性

シロアリに食べられた木

シロアリが発生する条件と木材腐朽菌の発生条件は非常に類似しています。

腐朽菌は水回り設備のある床下、雨漏りや水漏れが発生している場所に発生しやすく、シロアリも同じ場所で発生しやすいと言われています。

腐朽菌の繁殖で強度が下がったところにシロアリの食被害が加わると木材の空洞化が一気に進み、耐久性は大幅に低下します。

木材腐朽菌による耐震性への影響

地震で倒壊した木造住宅

1995年の阪神淡路大震災時の木造住宅は耐震基準が現在とは異なりますが、全半壊が20万棟以上という甚大な被害が出ました。

死者の8割は倒壊による圧死であったとされていますが、のちの研究機関による調査によると、倒壊した建物の大半が木材腐朽菌やシロアリの被害により強度が低下していたことが分かりました。

森拓郎 <総説>地震被害にみる木造住宅を長持ちさせる技術 生存圏研究 第13号 2017 P24

木材腐朽菌の予防

木材腐朽菌は一度発生してしまうと、木材の腐食を元の状態に戻すことはできませんが、未然に処置を行うことで発生と腐食を防ぐことができます。

薬剤

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薬剤を木材に塗布すると、空気中の木材腐朽菌の胞子が付着した場合に殺菌を行います。

有効的な成分は「ホウ酸」で自然素材の鉱物から採取でき、身近なところでは目薬の防腐剤としても使われています。

ホウ酸はヒトへの刺激性が少なく、揮発をしないため空気中に成分が飛散することもないため安全です。

揮発をしないということは効果の継続期間も長いという特徴があります。

ホウ素は菌の中に一定以上の量が入り込むと、エネルギーを生み出す活動に使われる酵素と結合し、活動を阻害します。

その結果菌はエネルギーを生み出すことができなくなり、結果生命活動が停止し死に至ります。

調湿剤

木材腐朽菌の生育条件の酸素、温度については制御することは不可能ですが水分、つまり湿度の調整なら可能です。

もし結露や雨漏りが著しく、屋根裏や床下などが常にジメジメしている場合は要注意です。

調湿材は床下に置くだけで、湿気が多いときには吸収し、乾燥しているときは放出することで湿度を丁度いい状態に保ちます。

費用は1坪で3000円前後ですが、調湿材は半永久的に効果が持続するためメンテナンスが不要な点はメリットです。

床下換気扇

床下換気扇により床下の湿気をファンの力で取り除くことができる装置です。

床下の通気口付近に設置して空気を排出し、外の空気を取り入れる目的で使います。

この場合、機械の位置は通気口付近にあるので、床下中心部までは空気の通り道を作りにくいと言われます。床下換気の効果を高めるのなら、床下中心部に拡散型の換気扇、通気口付近は排気型の換気扇を配置すると十分です。

費用としては1~3万円程度で、電気代も100円/1ヶ月とコスパも抜群です。

日当たりの良いお宅ならソーラーパネル式もおすすめです。

まとめ

木材腐朽菌は水回り設備付近の木材、水漏れをしている場所の木材に発生しやすく、腐食により木材の組織を分解します。

それにより耐震性は一気に低下することになるので、今回紹介した薬剤、調湿剤、床下換気扇を用いた木材腐朽菌が発生しない環境づくりが必要です。

もし既に木材腐朽菌やシロアリによる被害が発生している場合は早急に駆除、建物の修復を行うことが必要です。 すまサポではシロアリ駆除耐震診断を行っております。

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