数日間お風呂掃除をサボってしまったとき、浴槽の端、床の端のほうがピンク色に汚れている光景を見たことはありませんか?
あの色を見ると、「あ! お風呂がサビてしまった?」と驚いてしまいます。
お風呂用洗剤でこするとピンク色の汚れが落ち一安心しますが、気づいたら同じ場所がまたピンク色になっている…
この状況を何度も繰り返してきたでしょう。
筆者の自宅でもうっかりお風呂掃除をサボってしまうと、すぐにピンク色の汚れが発生してしまい悩んでいました。
しかし今回紹介するピンク色の汚れの原因と対処方法を実践していただくと、この悩みは解決することでしょう。
ピンク色の汚れの正体
このピンク色の汚れにはメチロバクテリウムという細菌が主に繁殖しています。
このメチロバクテリウムは土、水中、植物といった広い環境で生息しており、栄養がほとんどない悪環境でも生き延びることができます。
水に含まれる微量のミネラルでも生息できることから、水道管を通って私たちの家にやってきます。
病院内では水道を介してのメチロバクテリウムによる感染症の可能性から、殺菌の重要性が高いです。
通常は害のないメチロバクテリウムですが、体の弱っている高齢者や持病を持っている方が住んでいるおうちは注意したほうが良いかもしれません。
ここで一つの疑問が発生しました。
ピンク色の汚れの原因はメチロバクテリウムで水道水にも含まれていると書きましたが、今までに水道水がピンク色に見えたことはないはずです。
メチロバクテリウムは単体では目に見えませんが、集合し大量に繁殖をするとようやく人間の目に見える程度のピンク色が現れます。
ピンク色の物質の成分はスピロキサンチン、カロテノイド酸などのカロテノイドの一種で、カロテノイドと言えば人参、トマト、サーモンなどに含まれるあの鮮やかな赤色の色素もカロテノイドの一種になります。
殺菌方法
このピンク汚れを掃除するにはやはり、原因の大元であるメチロバクテリウムを殺菌しないと今後もピンク汚れに悩まされることになってしまいます。
メチロバクテリウムの殺菌方法ですが、実は少々厄介で一般的な細菌とは異なり乾燥、塩素系漂白剤、一般的な洗剤に含まれる界面活性剤への耐性が高い特徴があります。
一般的な菌としては考えにくいこの耐性能力の秘密は実は、あのピンク色の色素であるカロテノイドが細菌の本体の防御膜を作っているからです。
細菌の集合体が作り出す膜はバイオフィルムと呼ばれ、私たちの歯のネバネバ、キッチンの排水口のヌメヌメなどもバイオフィルムに含まれます。
確かにカビを除去するために薬剤散布したにも関わらず、なぜかピンク色の汚れだけは残ったままなのはこんな理由があったのですね。
メチロバクテリウムは水道管の水を経由しておうちにやってくると先程書きましたが、水道水には殺菌のための塩素が含まれているはずです。
それにも関わらず水道水でも生存できるのはまさに塩素に耐性があることを証明しています。
この厄介なメチロバクテリウムをどうやって殺菌したらいいか、調査していきましょう。
60度程度の熱湯で加熱殺菌する
まず最初に効果的だと考えられる殺菌方法は加熱です。
加熱をすると細菌の体を構成するタンパク質の形を壊すことができ、細菌として生存する機能が失われることで死滅していきます。
ただ、ピンク色の汚れが目に見えてひどい場合はバイオフィルムという特殊な膜が細菌の体を保護している可能性もあります。
バイオフィルムはかなり頑丈な構造をしているため、単にお湯をかけるだけでは細菌に直接お湯が届きにくくなり殺菌につながらない可能性もあります。
70%エタノールで消毒
次に考えられる殺菌方法は70%エタノールで殺菌です。
エタノールを細菌に噴霧すると、細菌の体を容易に通過し体の中のタンパク質の形を破壊、さらにエタノールが蒸発すると同時に細菌の水分も蒸発させて殺菌します。
ただし、エタノールの場合もバイオフィルムを構成する物質に阻まれてしまい、細菌自体にエタノールが届かない可能性があります。
一般のお風呂用洗剤とエタノールの併用
今回2つの対処方法について考えましたが、これらはメチロバクテリウム単体には効果がありますが、メチロバクテリウムを保護するピンク色の汚れ、バイオフィルムには効果が薄いと考えられます。
実際にピンク色の汚れを除去したとしても、すぐにピンク色の汚れが発生してしまうのは見かけ上汚れが除去されただけで完全に殺菌まではできていない証拠かもしれませんね。
ということはお風呂にこびりついたピンク色のバイオフィルムを先に除去し、その後に保護機能を失ったメチロバクテリウム単体を確実に殺菌する方法が求められます。
実際にメチロバクテリウムの効果的な殺菌方法についての研究報告を見てみると、一般的な洗剤とアルコールを同時に使用した場合が最も殺菌効果が高いとあります。
この研究で使用したアルコールは一般的に購入できるものではありませんが、おうちで行うにはエタノールを使用すると良いでしょう。
予防方法
今回紹介した殺菌方法であなたのお風呂はキレイな状態になっていますが、油断しているとすぐにメチロバクテリウムは再びお風呂にやってきて繁殖していくでしょう。
メチロバクテリウムは水、温度、皮脂汚れなどの栄養素があれば簡単に繁殖してしまいます。
一度キレイになった状態のお風呂をこれからも維持していくための予防方法をお伝えしていきます。
こまめなお風呂掃除
細菌は家の中のどこにでもいますので、お風呂が一見キレイだったとしても見えない細菌が常に付着していると思ってください。
付着した細菌の繁殖を防ぐにはやはりこまめな掃除を行うことが大切です。
毎日のお風呂掃除は大変だったとしても、付着した微量の細菌数ならお湯を流すだけでも殺菌し洗い流すことが可能です。
掃除の後は換気扇を回すなど、できるだけ栄養素となる水は残さないようにしましょう。
まとめ
ピンク色の汚れの元となるメチロバクテリウムは一般的な細菌とは異なる性質があり、通常の掃除では完全に殺菌することは容易ではありません。
体を保護しているピンク色の汚れ、バイオフィルムを先に除去し、保護機能を失った菌本体を効率的に殺菌するためには、一般的な洗剤とエタノールの併用が一番効率が良くなります。
殺菌しても水道水を介してすぐに繁殖する可能性があるので、こまめな掃除を心がけて繁殖を防ぐようにしましょう。
すまサポでは、お家の悩みに合わせた様々なメンテナンスサービスを行っております。気になることがございましたら、お気軽にご相談ください!