筆者は大学時代、生物化学系の研究室に所属しており、実験では細胞を扱うことから、空気中の雑菌が入らないように無菌の環境を維持することが大切でした。
そのためには常に掃除やエタノール消毒が必要で、机や床はいつもエタノールで湿らせたキッチンタオルのようなもので清潔にしてきました。
学校でエタノールを使っていると、お家でもエタノールで消毒して清潔にしたいなと考えるようになってしまいました。
それからは通販で1Lのエタノールをまとめ買いし、掃除では頻繁に使用しています。
大学を卒業してから1年後、世間はコロナウイルス流行によりエタノールが品薄になったときは困りましたが、世間的にエタノール消毒が身近になったのはちょっと嬉しく感じました。今回は筆者が好んで使うエタノールの掃除術を紹介します。
エタノールとは
エタノールとはアルコールの1種で、お酒に含まれるアルコールはこのエタノールのことを指します。
飲めますが、人間の体に蓄積しすぎると二日酔いの原因になったりと体にはあまり良くないイメージがあります。
性質としては一般的に広く知られる消毒作用に加えて、すぐに蒸発したり、火をつけると燃えやすかったり、脱脂作用があったりとたくさんあります。
消毒、殺菌、抗菌、滅菌の違い
この4つの言葉、どれも菌は除去できていそうなニュアンスですが、定義をはっきりと理解している人は少ないと思います。
医療の世界だとこれらの違いは明確に定義されており、人への感染対策のために場所ごとに方法を変えて衛生環境を作っています。
消毒
消毒は菌の感染性を無くすことにより無害化することを指し、特定の菌を全て殺すわけではなく害の無い程度まで減らしたり、感染力を失わせたりする場合に使われます。
切り傷に使われる消毒液に該当します。
殺菌
殺菌は菌そのものを殺すこと。ただし全ての菌が対象ではなく、ある特定の菌の数を減らすことができれば殺菌に該当します。
菌を減らす程度にはとくに指定はなく、一部が殺せたら殺菌という言葉が当てはまります。
医薬品や医薬部外品では殺菌という表記は使用できますが、洗濯洗剤や消臭剤などの日用品では殺菌という表記ができません。
抗菌
抗菌は直接菌を殺したり、除去したりはできませんが、菌が増殖しにくい環境を作ることを指します。
簡単に言うと菌の予防ですね。
日常生活だとデパートの椅子や、電車の吊り革で抗菌加工と表記されているのを見かけたことがあるのではないでしょうか。
滅菌
滅菌は菌を全て殺し、除去することです。
日本薬局法では菌が生存する確率が100万分の1になることと定義されています。
日常生活ではエタノールで全ての菌を除去することは難しく、病院での外科的処置、医薬品工場での無菌製造などが必要になる現場では、高圧蒸気滅菌、紫外線滅菌などが行われています。
新型コロナウイルスが流行していた時に、重症患者がクリーンルームに入ったというニュースを聞いたかもしれませんが、このクリーンルームは特殊な空調システムを導入しており、室内全体に一切菌が存在しない環境です。
エタノールの消毒メカニズム
エタノールは菌の生体膜を通過、膜ごと破壊して菌を死滅させます。
ただし消毒するには特定の範囲の濃度でなければなりません。
その濃度は70~80%の範囲です。
エタノールは単体だと空気に触れるとすぐに蒸発してしまいますので、濃度が高い状態で使用すると消毒の効果が発生する前に蒸発して意味がなくなってしまいます。
エタノールを使った掃除術
エタノールは蒸発しやすいが、濃度を70%~80%で使用すると消毒性がある、脱脂作用があるという特徴を活かして日々の掃除に応用することができます。
無水エタノールの掃除術
無水エタノールという濃度99.5%以上のほぼ純粋なエタノールは、拭き掃除に使うとすぐに蒸発してしまいますが、普通の水では掃除ができないパソコンのキーボードの掃除に適しています。
無水エタノールを綿棒に数滴垂らしてキーボードのボタンの溝をなぞるように拭いたり、ティッシュを濡らしてサッとキーボードの表面を拭きましょう。
ちなみにパソコンのキーボードってものすごく不衛生で、ゴキブリですら上を通るのを避けるらしいですよ。皆さん今すぐ無水エタノールを購入しましょう!
キーボード以外ですと、テレビやエアコンのリモコンもキーボードと同じように掃除できます。
70%エタノール
70%エタノールは殺菌性に加えて、脱脂作用があります。
日常で商業施設に入る時は入口のエタノールを手にかけると思いますが、回数が増えると手がパサパサに乾燥するはずです。
これが脱脂作用で、手の脂が除去されています。
手の脂が除去するということは、同じ脂であるキッチンや電子レンジ内にこびりついている脂も除去できます。
トイレや玄関のドアノブも頻繁に触る場所なので定期的に拭くようにしています。
エタノールで掃除してはいけない場所
いままではエタノールのメリットばかり伝えてきましたが、デメリットもあります。
エタノールの脱脂作用が害を及ぼす場所もあるからです。
ニスが塗られたフローリング
例えばニスが塗られているフローリングですが、ニスは脂の性質を持っているためエタノールを含ませた雑巾などでゴシゴシこすると剥がれます。
※筆者は以前住んでいたマンションでやってしまいましたが、幸い退去時に追加の修繕費用は請求されませんでした。
テレビ、スマートフォン、パソコンなどの液晶ディスプレイ
特にディスプレイの繊細さが強みのapple製品は避けるべきで、無水エタノールを使用するとディスプレイが白くにじんでしまう感じになってしまいます。
※筆者のパソコンはこの影響でいつも汚れている感じに見えています。
ディスプレイの掃除には専用の洗浄液の購入がおすすめです。
木製家具
木製家具にもニスが塗られていることがあるので、エタノールで強く拭くのは避けましょう。
ニスは脂なので普通の水程度なら掃除しても問題はありません。
革製品
革製品を消毒する人はいないと思いますが念のため。
革製品にエタノールが付着し、蒸発した際に色味が落ちて染みのようになってしまいます。
まとめ
エタノールの消毒、脱脂作用を利用して普段の水拭きができない場所の掃除術を紹介しました。
現代の人間が頻繁に触る電子機器は、使用頻度と比較して圧倒的に掃除の頻度が少ないのではないでしょうか。
普段触る場所が多いところはエタノールで定期的に消毒をして衛生的なお家環境を作っていきましょう!
すまサポでは、お家の悩みに合わせた様々なメンテナンスサービスを行っております。気になることがございましたら、お気軽にご相談ください!