お家で料理をしていると、パチパチとはねた油がコンロ周りや壁に飛び散ってしまいます。
壁に飛び散っただけならまだ掃除はしやすいですが、空気中のホコリに油が付着しそれが色んな場所に広がっていく…となると厄介な存在です。
掃除を怠っているとドロドロになった油汚れの上にさらに油が付着し、放置するとまたドロドロに…と頑固な油汚れが何層も積み重なってしまうことになり、簡単には落とせなくなってしまいます。
なぜ油汚れは落ちないのか
油はそもそも構造的にかなり大きく、水の構造であるH2Oとは全然違います。
油は水よりも粘度が高く凝集し合っている状態なので、簡単に水に溶けだしてはくれません。
キッチンの場合、料理後についてしまった油汚れを放置すると固まっていき、掃除をサボってしまうとその油汚れの上にさらに油汚れが重なっていくため、普通の食器用洗剤では洗浄力が足りずに対処ができなくなってしまいます。
しつこい油汚れを落とす最強アイテムは何?
頑固な油汚れの掃除は長期戦になりがちですが、できれば掃除は短くかつ、高い洗浄力が求められます。
そこで今回はキッチンの頑固な油汚れを対処するに相応しい精鋭アイテムを見つけるため、筆者が普段から掃除に使用しているアイテムや、家にあった油汚れ掃除に良さそうなアイテムの中でどれが効率よく油汚れを落とせるか実験を行いたいと思います。
今回参加する精鋭たちは以下の5つです!
中性洗剤
一般的な食器洗い洗剤である中性洗剤。
キッチンの油汚れは酸性の汚れになりますので、中性洗剤では少々洗浄力が足りないように思えますが、中性洗剤に含まれる界面活性剤に油を浮かす力はあります。
普段の食器についた油汚れくらいなら普通に落とせていますので、まずは無難に選びました。
イソプロパノール(IPA)
これはなんですか?と思われた方も多いかもしれませんが、コロナウィルスの流行以降、私たちの身の回りで頻繁に手にしていることでしょう。
イソプロパノールはアルコールの一種で、一般的な消毒に使われるエタノールと構造はよく似ていますが消毒作用は2倍とかなり優れています。
そのため消毒が重要になる医療現場ではエタノールに加えて、イソプロパノールも使用しています。
病院内で鼻が少々ツーンと感じるのは、イソプロパノールの臭いなのかもしれません。
ところで、なぜ今回油汚れの掃除に使うかと言うと、実はイソプロパノールには脱脂作用もあり、工場では機械から油を除去するための洗浄剤に使われたり、油性の塗料の希釈剤としても使われたりしています。
この脱脂作用を利用して筆者の家ではキッチン周りはもちろん、机や冷蔵庫、電子レンジなどの拭き掃除にも利用している、今回の最強アイテムの筆頭候補として使います。
メラミンスポンジ
100円ショップでよく見かけるメラニンスポンジは、きめ細かな網目状の骨格を持っている素材で、汚れをゴシゴシするとメラニンスポンジが持つ網目状のポケットで汚れを絡め取るような感じで掃除をすることができます。
ミヤマ株式会社
ヤスリでゴシゴシと研磨するようなイメージがわかりやすい例でしょうか。
研磨することになりますので、ガラスやステンレス、表面にチタンコーティングをしている鉄板などに使用すると、表面に傷がついてしまう可能性があるので使用場所に限りはあります。
場所に限りがあるとはいえ、使用できる場所の掃除に関しては普段の掃除で効果を発揮してくれているので期待しています。
みかんの皮
たまたま家にあったみかんですが、そういえばみかんの成分が含まれたお掃除グッズをホームセンターや100円ショップで見たことを思い出しました。
なぜみかんがお掃除グッズに使われているのかというと、みかんの皮に含まれるリモネンという成分に油を溶かす作用があるからです。
リモネンは構造上、油と馴染みやすい性質を持っているので、油汚れを浮かす作用に期待できます。
お店でリモネンの洗浄スプレーを買っても良かったのですが、経費削減のためワイルドに直接みかんの皮をこすりつけて挑戦していきます。
ちなみに今回の趣旨とは異なりますが、みかんの皮に含まれるクエン酸には水垢を落とす作用がありますので、水回りの掃除でも使用できるかもしれません。
クレンジングゲル
メイクに使うアイシャドウやチークはそのまま顔を水洗いしても落としきれないですよね。
なぜかというと、化粧品自体が油のような性質を持っているからです。
水と油は混じり合うことはないですが、油性の化粧品を浮かして落としやすくする役割がクレンジングゲルにあります。
油性の化粧品を落とせるということは、同じ油性の油汚れにも効果的では?と予想し、今回の実験で初めて掃除に使用してみます。
実験結果
今回の実験の掃除場所はキッチンの壁、掃除範囲はそれぞれのアイテムで偏りを無くすため、掃除範囲内の左上と右下にマーカーで記し固定した。
範囲内の掃除は目視レベルでキレイになったと判断できるまで継続し、万が一落としきれないと判断した場合は、掃除時間の上限を90秒に設定した。
掃除前の汚れ度合いは各範囲でおおよそ以下の通りである。
中性洗剤
中性洗剤での掃除にあたり、直接洗剤を壁にかけてしまうと下に流れてしまうので、キッチンペーパーに洗剤を含ませた状態で壁に貼り付けて5分ほど放置しました。
5分後にそのままキッチンペーパーでゴシゴシ拭き取った結果がこちらです。
90秒経過後もまだ少し油汚れは残っている状態でした。
中性洗剤だけではこびり付いてしまった油汚れは完全に落としきれないようです。
あと、洗剤を壁にかけてしまうと少しヌルヌルした状態になってしまいます。
イソプロパノール
使用にあたり、水で70%まで希釈しました。
キッチンペーパーに70%イソプロパノールを含ませ、ゴシゴシした結果がこちらです。
20秒後にはほぼ完全に汚れはなくなりました。
イソプロパノールはアルコールなので、掃除後の水分もアルコールと一緒に揮発しました。
一緒に消毒もできていますので、油汚れと消毒が両立できる点は優秀です。
メラミンスポンジ
メラミンスポンジにたっぷりと水を含ませ、そのままゴシゴシと掃除した結果がこちらです。
ただの水でも油汚れは30秒後にはキレイになりました。
メラミンスポンジ本体がかなり茶色に変色していたので、実によく吸着していたかが分かりました。
表面上はキレイに見えますが、壁を触ってみると少しネバネバは残っていました。
みかんの皮
ネット上の情報だとみかんの皮の煮出し汁を使うと良いとの情報がありましたが、今回の趣旨はあくまで時短です。
煮出す時間がもったいないので、直接皮を絞りつつ、壁をこすっていきました。
こんなワイルドな方法で良いのかと疑問に思いながら作業をしたのですが、30秒後には意外と汚れは目立たなくなりました。
写真ではもう残っていませんが、壁に皮の絞りカスや着色が残ってしまうので結局別途掃除が必要になってきます…
ここの部分はみかんのオレンジ色が油汚れと合わさり、余計に黄ばみが増した気がします。
みかんは季節も限定されますし、現実的ではないですね。
クレンジングゲル
クレンジングゲルも、一回キッチンペーパーに含ませた状態で壁に5分ほど放置しました。
5分後にそのキッチンペーパーでゴシゴシした結果がこちらです。
90秒頑張りましたが、満足のいくまで落としきることはできませんでした。
頑固な汚れまでは対処しきれませんでした。
あと、クレンジングゲルを使うと壁がドロドロになるのは致命的な欠点です。
結論
今回の実験の結果をまとめていきます。
アイテム名 | 作業時間 | 仕上がり |
中性洗剤 | 90秒 | ○ |
イソプロパノール | 20秒 | ◎ |
メラミンスポンジ | 30秒 | ◎ |
みかんの皮 | 30秒 | ✗ |
クレンジングゲル | 90秒 | ✗ |
中性洗剤は作業時間こそ長いものの油汚れ自体はまあまあ落とすことができたが、掃除後に洗剤のドロドロが残ってしまう点が評価を下げた。
みかんの皮、クレンジングゲルは作業時間に明確な差があるものの、掃除後の処理も大変になってくるので使用は控えるべきだと分かった。
最終的な仕上がりはイソプロパノールとメラミンスポンジがトップクラスではあるが、イソプロパノールのほうが10秒早く掃除することができ、さらにアルコールによる消毒作用にも期待できる点を考えると、キッチンの油汚れの掃除にはイソプロパノールを使うことが望ましいと明らかになりました。
ここで一つの名案が生じた。
今回の実験ではメラミンスポンジに水を含ませて掃除を行ったのだが、メラミンスポンジにイソプロパノールを含ませると最強なのではないかと。
今回の実験で良好な結果が得られた両者が組み合わさるとキッチンの頑固な油汚れも一瞬で掃除できると期待し、私は追加実験を行った。
今回の手法と同様に、メラミンスポンジに70%イソプロパノールを含ませて再度掃除を行った結果がこちらです。
結果、イソプロパノール単体での結果と変わらなかった。
つまり、イソプロパノールさえあれば、メラミンスポンジの必要性はなく、油汚れの掃除に最適なアイテムは「イソプロパノール」である。
※今回の実験に使用していない、アルカリ電解水やセスキ炭酸ソーダなどを用いるとイソプロパノール以上の効果が得られる可能性もあります。
まとめ
頑固な油汚れはイソプロパノールを用いると油汚れは落とすことができ、おまけに消毒もできるので一石二鳥です。
イソプロパノールはamazonで1500円/L程度で購入できるのでおすすめの薬剤です。
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