駐車場などにあるコンリートの塀を注意深く見てみると、1mm程度の小さな赤い虫がうろうろとしている光景を見たことはありませんか?
筆者が幼いころは学校や公園にある大きな石やスーパーの駐車場の塀についている赤い虫を小石で潰して遊んでいました。
当時は「赤くて目立つ虫がいるなあ」くらいにしか思っていなかったのですが、大人になってみると「あの虫は実は危険な虫だったかもしれない」とか、「潰して良かったのだろうか」など気になりました。
今こうしてハウスリフォーム・クリーニングの仕事に携わっているので、調べてみました。
赤い虫の正体
ではさっそく、赤い虫の名前を調べてみるとどうやら「カベアナタカラダニ」というダニのようです。
「カベアナ」はこのダニが壁にいて、眼の後ろに穴があるから「カベアナ」、「タカラダニ」の由来は、大きな虫にこのダニが付着している様子が「赤い宝」がついているように見えたことから「カベアナタカラダニ」という名前がつきました。
体長は1~2mm程度で、拡大写真を見てみると小さな蜘蛛のようにも感じます。
珍しいことに見つかった個体のすべてがメスであったことから単為生殖を行っていると考えられています。
危害が加わる恐れがある緊急時には赤い体液を噴出します。
ちなみにこの赤い体液の成分の6割程度はアスタキサンチンという、サーモンにも入っているあの赤色の成分と同じらしいです。
カベアナタカラダニが発生する原因
日本では北海道から沖縄まで、山地から平野まで広範囲に生息しています。
春先に幼虫が出てきて、成虫は5月~6月に活動します。
花粉や小さな昆虫をエサにしているのですが、石やコンクリートなどの表面がデコボコした場所に餌が溜まりやすいので、カベアナタカラダニもここに群がります。
活動の時間帯は日が昇り始める午前6時ごろから11時までが最も活発で、日光でコンクリートが暑くなる時間帯にはいなくなります。
晴れの日にしか見ることがないので熱さ耐性があるように感じますが、表面温度が50℃を超える過度な条件は適していないようです。
通常は屋外に生息しているものの、服やペットに付着して屋内へと入り込むこともあります。
家の中では繁殖して増えることはないので安心ですが、見た目の不快感は気になるところです。
カベアナタカラダニに健康被害はあるのか?
赤い身体の印象から毒を持っているように感じますが、人に噛みつくことがないため感染症を媒介する心配はありません。
ただ、赤い体液が皮膚に長時間付着し続けると皮疹を生じた人がいたとの研究があったので、必ずしも無害なダニとは言い切れません。
遊びでむやみに潰したり、体液を皮膚につけたりしないように注意しましょう。
特集 研究調査事例 カベアナタカラダニの生態と防除-新たな知見を加えて- 元東京都健康安全研究センター 大野正彦
対処法
家の外で見かけた場合は水で流しましょう。
屋内で見かけた場合は粘着テープで体を潰さないように取り除きます。
虫除け剤を網戸などに設置すると屋外からの侵入を防ぐことが可能です。 防虫剤以外だと、コンクリートに防水材を塗布すると翌年~2年後の発生数が減少したとの予防効果も確認されています。
おまけの最新情報 マダニによるオズウイルス感染症について
2023/6/23に国立感染症研究所によって、世界初となるオズウイルス感染症が茨城県内で発生、患者が死亡したと報告されました。
オズウイルス自体は2018年に愛媛県のマダニから初めて見つかっており、その後山口県、和歌山県、三重県、大分県、岐阜県、千葉県にも拡大していました。
今回の茨城県での感染症の事例では発熱、倦怠感、食欲低下、嘔吐、関節痛、腎臓と肝臓に臓器障害が見られました。
今回は世界で初めての事例であったため、感染の頻度や重症度などのデータが不透明な部分が多いですが、まずはマダニに刺されないように日頃から注意をすることが大切です。
登山など植物の多い場所に行くときは肌の露出が少ない服装をして、虫除けスプレーを使うとほとんど寄り付くことがないようです。
まとめ
公園や駐車場にあるブロック塀などのコンクリートで見かけることのある小さな赤い虫はカベアナタカラダニというダニの一種です。
5~6月という僅かな期間で活動し、病気を媒介するマダニのように人に噛みつくことはないようです。
ただし潰した際に体から出る体液が皮膚についてしまうと稀に皮疹を生じることがありますので、家の付近で見かけた際は潰したりせずに水で洗い流して対処しましょう。
すまサポでは、お家の悩みに合わせた様々なメンテナンスサービスを行っております。気になることがございましたら、お気軽にご相談ください!