「部屋が散らかってきたから」
「埃が溜まってきたから」
掃除とはこのような感覚で行なっているかと思います。
もちろん筆者もその内の1人。
私たちが掃除をするタイミングは、空間を綺麗にするということに目的があって行動に移します。
しかし仏教の世界では私たちの考えとはかなり異なるようです。
この考えを現代の掃除にも取り入れていくと、自分自身を見つめ直すきっかけになったり、普段は気付けない新たな発見があったりと、非日常的な体験ができると思います。
年末年始は大掃除の季節ですが、この時期は除夜の鐘や初詣など宗教的な行事がありますので、大掃除だけでも仏教の教えを取り入れた掃除をおすすめします。
掃除は修行の一つ
掃除と仏教に一体何の関係性があるのか
パッと考えてもよく分かりませんが、仏教において掃除は修行の一つとされています。
仏教にとっての教えの基本は一に掃除、二に読経、三に学問と言われ、掃除は一般的な修行の印象がある読経よりも重きが置かれています。
その中でも特に禅寺と言われる臨済宗、曹洞宗、黄檗宗の寺院は特に掃除が何よりも重要とされており、曹洞宗の大本山である福井県の永平寺では多くの禅僧が朝の食事後に廊下を一心に磨き、まるでワックスでも塗ったかのようにピカピカにします。
既に綺麗なのに、さらに磨く必要があるのかと拝観者は感じるかもしれませんが、禅僧にとっては床を磨き綺麗にすることが目的ではなく、掃除をするという行為を修行と捉えています。
掃除をすることで心が磨かれる
掃除をしていると心を無心に集中することができ、一拭き一拭き磨き上げる行為が、実は心も磨き上げているという教えが仏教にはあります。
掃除=自分の心を磨くということは仏教の開祖であるお釈迦様の教えで、以下のエピソードがあります。
お釈迦さまの弟子にいた周利槃特(しゅりはんどく)は自分の名前すら覚えられないほど物覚えがよくありませんでした。
修行もその物覚えの悪さから周りにはついていけず、修行を辞めるとお釈迦さまに伝えます。
するとお釈迦さまは1本のほうきを渡し、「塵をはらい、垢を除かん」との言葉を授けます。
来る日も来る日も「塵をはらい、垢を除かん」と唱えながら掃除をしていたとき、お釈迦さまから「まだ汚れている部分がある」と声をかけられます。
しかし、それがどこなのかは一向に教えてもらえず二十年がたち、ある時「汚れていたのは自分の心だった」と気づき、悟りを開くことができました。
お寺を訪れた際、普段生活する空間とは異なり、心が軽くなるような清涼感、なぜだか身も心もシャキッとするような厳かな雰囲気を感じたことがありますが、この感覚は掃除が土台で作り出されているのかもしれませんね。
現代の掃除に取り入れたい思想
仏教における掃除の目的についてお話ししてきましたが、現代のお寺でも行われている掃除の基本をお家で取り入れるためにはどうすればいいのか見ていきましょう。
掃除前に計画を立てる
掃除をするにあたってなんとなく掃除機や雑巾を手にし、掃除をしながら次はどこを掃除しようと考えていると、本来の掃除に集中できなくなってしまいます。
仏教に脚下照顧(きゃっかしょうこ)という言葉があり、自分の足元を見つめる、自分の本性を見つめるという意味があります。
まずは一度お家の中をじっくり見回して、これから行う掃除の計画を立てて集中して掃除ができる準備を行いましょう。
掃除前に瞑想
掃除をすることで心を磨くことということをお伝えしてきましたが、「心を磨きたいから」という見返りを期待して掃除をしてはいけません。
仏教において見返りは自分の「苦」を生む行為とされます。
心を磨きたいからという欲を持って掃除をしてしまうと、気持ちが乱れてしまい本来の掃除の意味が薄れてしまいます。
そこでおすすめしたいことが掃除前の瞑想により一度心をリセットしてから掃除に励むことです。
大本山永平寺の麓にある永平寺中学校では掃除前に廊下で正座し瞑想してから掃除を行うようです。
瞑想を取り入れることで掃除に集中でき、普段の掃除では気づけなかった汚れなどの新しい発見や思想が生まれることが多いためです。
さらに瞑想の他、私語禁止の無言清掃を当たり前のように確立しているというので驚きです。
剣道や柔道などの武道でも稽古前と稽古後は瞑想と掃除はセットで取り入れられています。
制限時間を設ける
昔学校で行っていた掃除を思い出すと、開始時間と終了時間が決まっていたはずです。
お家で掃除をするとなると、床の掃除機、お風呂やキッチンの排水口掃除にトイレ掃除…と一度掃除を始めると、あれもこれもと作業をしてしまいどのタイミングで終わったら良いか迷うこともあります。
しかし1日何分、お風呂掃除は何分などと時間制限を設けると習慣化がしやすいです。
あえて自分の手で掃除をする
現代は掃除を楽にする便利な家電がたくさん登場し、もはや自分の手は一切使わず全て自動で行ってくれる自動掃除機や自動食洗機を持っている人も多いです。
本記事でお伝えしている掃除は、自分の手で一拭き、一拭きする行為が重要です。
たまには機械に頼らない掃除を取り入れてみましょう。
機械では落とせなかった汚れや新たな気づきがあるかもしれません。
まとめ
今年もあと3週間ほど。
年末年始は除夜の鐘、初詣、ご先祖様の墓参りなど宗教的な行事がありますので、年末の大掃除にも仏教の思想を取り入れてみてもいいかもしれません。
心に溜まった1年分の汚れを落として気持ちよく来年を迎えましょう。
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